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【 仏様には 私たちも なれる 】

団体長さんが 来られた。

100人ぐらいの 団体で
この 3月に宿泊所、交通機関等の最終打ち合わせのためだ。

寺に着くや否や
『 昔は良かったですな~。島をあげてお遍路さんをお迎えしようと言う
島民の 慈愛心も感じられたし、何よりも人情味が有った』
と空を見上げる。

フェリーも 時代の流れで 大手の船会社に移ってしまい
仏頂ずらの杓子紙面な対応。

『30年も 50年も 島に来て居る 人間と、今日初めて会った人との対応が全く一緒です』

『今までは 親戚にきたような気持で 《今年は 何人 参ったよ》と声を掛け合ったものだ』

『昭和50年ごろだったかな~?
その頃、1000人団体で参っていたのだが 大雪が振って
交通機関は渋滞するは 右往左往した。最終のフェリーが 午後6時発。
殆どの バスはそれに滑り込んだが バス2台が乗り遅れた。
フェリー 社長の計らいで 臨時で9時の便を出して貰える事になった。
なんと それでも まだ1台 来ない。《 万事休す 》と、観念した矢先
社長が苦肉の策で『着き次第 フェリーを出します』と、言われた。

寒さの中、大雪を掻き分けて到着した時は 団員もヘトヘトだった。
なんと その時、社長の奥様をはじめ 会社一同で お弁当を作り、あったかいお汁まで
用意して待っていてくれた。

疲れきった所に 言うに言えない暖かい【心】を頂いて みんな泣きながら汁をすすった。

11時に 商売抜きの 採算度返しのフェリーが 出航し
島に着いた時 もう日が変わっていた。

そこには、厳寒の中、僧侶、宿泊関係者、島をあげての お迎えの姿が目に映った。

宿に入って 団体長が
『 今日は皆さんには申し訳ない事でした。経費は幾らかかっても
会でみますから、もう一泊して 計画どうり八十八カ所を巡りましょう』
と切り出したら
『団体長さん、八十八ケ所を巡らなくても、私たちはもう 既に お観音様や お大師さまに
お出会いしました。こんなに有難い お参だったら、何度してもかまわない。
今日、起きて 参れるだけ参って 今日のフェリーで帰りましょう。それで充分だ』
そう 決まったそうだ。

宿泊所、交通機関、寺、島民をあげて《 お遍路さんを お迎えしよう》という心が
当事者から見れば、お大師さんに映ったのだ。
いや違う。
その《行い》そのものが
目標にして居た《お大師さまに》そのものだったのだ。

『今の 大手の船会社に お大師さまは 微塵も感じ取れないね。』

ポツンと言われた 団体長の言葉に ジジの胸は痛んだ。
合掌
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