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【えっ まだ 拘っていたの ? 早く 荷物を おろして 楽になりなさいよ 】

仏師夫婦が 来られた。

彼には いつも 後ろめたい気持ちを 持っており
一刻も 早く 謝って 肩の荷を おろしたいと
願って いたのだ。

『おじさん この12月に
私たちにとって はじめての子が 生まれるのです』

「おめでとう。
おとうさんや おかあさんから 聞いて 知っているよ」

はやく 謝らなくては。
はやく 肩の荷を 下ろさなくては。

本人からすれば 変な 会話だっただろう。

彼は 友人の長男で 美術大学を経て 仏師の卵になった。
彼に 聞いてみると 弟子が約 40人居て
11人年目の 彼は 丁度、中堅ぐらいで 頑張っているようだ。

入所したとき 所謂 11年前から言っていた。

『暖簾分けを してもらえて 先ず 1作目は
おじさんの 寺で 造っていただくから』

「お願いしますよ。楽しみに しています」

ところが 我が寺で 思いもよらぬ 本堂再建を余儀なく
新たに 仏さんを勧請しなければならなかった。

本人に 自作は 出来るか否か 訪ねてみた。
彼曰く、まだ 先生から 暖簾分けをして もらっていない。
弟子の 1人で 先生の 許可なくして 造るころは できない。

『では 作者名は あなたでは なく、
先生の 名前が 入るのですか? 』

「 当然です」

ところが 先生に 打診してみたところ
流石は 日本を 代表する 大先生。
お値段を 聞いて わたしが 目を回してしまったのだ。

口先だけの 大嘘つきに 成り下がった瞬間だった。


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『 え~ まだ そんな事に こだわっていたんですか?
わたしは とっくに そんな事、忘れていましたよ』

口には 出さなかったけれど
彼の 顔には そう 書いていた。

そう わたし 1人で こだわり わだかまり とらわれ
悶々と 苦しんでいたのだ。

私たちは オギャーと 生をうけた直後から
[ 苦しみ]の 連続である。

その 原因となるのが 私たちの 持っている
[ 煩悩 ]である。

【 抜苦与楽 】
私たちは 苦を 捨てて 楽を 与えなくては ならない。

そのためには [ 煩悩 】を 解き放たなくては
なりません。

そして 悪かったと 【謝る】勇気と
謝れば 【 赦す 】という 度量を 持たねばならない。

ああ言えば こう云う。
人を 押さえ込んで 勝ったとしても
横で みていても 余り いいものでもないね。

彼は ただ 笑って わたしを 受け入れた。

毎日 お身体を お造りしている
ご本尊の 【 慈悲 】と 【 智慧 】を 頂いたのかも
しれないね。

『おじさん、一本立ちしたときは
本当に 仏像を 造らせてくださいね』

「 も …もちろん 」

彼が 素晴らしい 仏師に成長し
暖簾分けをして 頂く日も
もう そこまで 来ているのかもしれない。
合掌




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